東京地方裁判所 昭和49年(特わ)2062号 判決 1975年8月22日
本店所在地
東京都北区堀船三丁目二〇番一三号
商号
株式会社長谷川製作所
代表者氏名
代表者代表取締役 長谷川和夫
本籍
東京都北区堀船三丁目二〇番地三
住居
同 都同区堀船三丁目二〇番地一三号
会社役員
長谷川和夫
昭和八年一〇月一二日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官米沢慶治、弁護人浜秀和出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告法人株式会社長谷川製作所を罰金九五〇万円に、
被告人長谷川和夫を懲役八月に各処する。
被告人長谷川和夫に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、昭和四九年一二月九日までは東京都北区豊島一丁目二六番四号に本店を、同都北区堀船三丁目二〇番一三号に営業所を置き、神社仏閣授与品および同記念品の製造販売等を営業目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人長谷川和夫は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人長谷川和夫は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和四五年一〇月一二日から同四六年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四、二〇二万八、四〇〇円であつたのにかかわらず、同四六年一一月三〇日、東京都北区王子三丁目二二番一五号所在の所轄王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五万三、一六四円で、これに対する法人税額が四万二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一、五一八万二、七〇〇円と右申告税額との差額一、五一三万九、九〇〇円を免れ(修正損益計算書、税額計算書は別紙一、三のとおり)
第二 昭和四六年一〇月一日から同四七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七、〇六〇万三、〇二九円であつたのにかかわらず、同四七年一一月二九日、前記王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九二万五、九〇五円で、これに対する法人税額が八一万九、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二、五六八万四、一〇〇円と右申告税額との差額二、四八六万五、一〇〇円を免れ(修正損益計算書、税額計算書は別紙二、三のとおり)
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一、合意書面一通
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書
一、長谷川愛子の検察官に対する供述調書
一、被告人の収税官吏に対する昭和四八年一〇月一一日付、昭和四九年一月一一日付、四月二二日付、五月一六日付(二通)、六月一日付、六月三日付(二通)各質問てん末書
一、大蔵事務官作成の売上調査書
一、押収してある確定申告書二通(当庁昭和五〇年押第一六六号の1、2)
(法令の適用)
被告法人株式会社長谷川製作所(以下被告会社という)の判示第一、第二の所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に、被告人長谷川和夫の判示第一、第二の所為はいずれも同法一五九条に各該当するところ、被告人長谷川和夫について、判示第一、第二の罪の所定刑中懲役刑を選択し、被告会社、被告人長谷川和夫につき、判示第一、第二の罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社につき同法四八条二項、被告人長谷川和夫につき同法四七条本文、一〇条を適用して、被告会社については各罪所定の罰金額を合算した範囲内で、被告人長谷川和夫については、犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金九五〇万円に、被告人長谷川和夫を懲役八月に各処し、情状により被告人長谷川和夫に対し、刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。(なお訴訟費用の負担につき刑訴法一八一条一項但書適用)
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 安原浩)
別紙一 修正損益計算書
(株)長谷川製作所
自 昭和45年10月12日
至 昭和46年9月30日
<省略>
別紙二 修正損益計算書
(株)長谷川製作所
自 昭和46年10月1日
至 昭和47年9月30日
<省略>
別紙三 逋脱税額計算書
株式会社長谷川製作所
自 昭和45年10月12日
至 昭和46年9月30日 事業年度分
自 昭和46年10月1日
至 昭和47年9月30日 事業年度分
<省略>